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営業の仕事にGrokはどう活用できるのか——商談前の人物理解と、毎朝の情報収集

この記事でわかること

  • 営業でGrokが向いている理由。核は「公開されているXの投稿をリアルタイムに読めること」
  • 使い方その1:商談前に相手の公開投稿を読み、ソーシャルスタイル理論の4分類に当てて伝え方を決める
  • 使い方その2:毎朝業界とベンチマーク企業の動きを自動で集める(無料プランでも設定できます)
  • やってはいけない線引き3つ。個人情報保護法・Xの規約・Grok自身の利用規約から

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前回の記事で、Grokがどんな会社の何というAIなのかを整理しました。
そこで必ず次に出てくるのが「自社の仕事にどう活用できるのか」という問いです。
今回はその答えを、営業という一つの職種に絞ってお伝えします。

今回は2つの例を紹介します。
どちらも当社で実際に動かしている使い方で、画面もそのまま掲載します。
前提となるGrokそのものの説明はGrokとは?xAIという会社と、得意・不得意・料金を整理するをご覧ください。

※機能名・仕様・価格は2026年9月7日時点の公式情報と実機で確認したものです。

なぜ営業とGrokの相性がよいのか


Grokの持ち味は、一般的なWeb検索に加えて公開されているXの投稿へリアルタイムにアクセスできることです。
公式はこれを「Live X integration」という機能名で説明しています(出典:SpaceXAI公式「Grok」製品ページ)。
X側のヘルプにも、Grokがリアルタイムの公開X投稿にアクセスすると書かれています(出典:X「Grokについて」)。

ChatGPTもClaudeもGeminiもPerplexityも、Web検索そのものはできます。
ただしX投稿を対象にした検索機能を公式に明記しているのは、2026年9月時点ではGrokです
他社のAIが「Xを一切読めない」わけではありません。検索エンジンに載っているXのページであれば拾える可能性はあります。

なるほどポイント

営業という仕事は「相手を知る」と「今を知る」の2つでできています。
Xには、記事になる前の生の声と、その人が普段どう考えているかが両方あります。
だから営業とGrokは相性が良いと考えています。

逆に言えば、Grokを使う理由は「新しいAIだから」ではなく「Xの情報が必要な仕事かどうか」だけです
社内文書の要約や議事録づくりが目的なら、いま使っているAIのままで事足りてしまうのが正直なところです。

使い方その1:商談前に、相手の伝え方を決めておく


商談相手がXをやっている場合、その公開投稿を読むと「何を大事にして、どう物事を決める人か」の手がかりが出てきます。
ただ、ここで「なんとなく理屈っぽい人そうだ」で終わらせると、情報活用としては一歩足りない印象もあります。
そこでポイントになるのがあらかじめ決まった型に当てはめるという点です。

当てはめる型:ソーシャルスタイル理論の4分類

今回使うのはソーシャルスタイル理論です。
リクルートマネジメントソリューションズの解説では、人の行動傾向を次の4つに分けています(出典:リクルートマネジメントソリューションズ「ソーシャルスタイル理論」)。

スタイル 解説での特徴
ドライビング目標達成が最優先で、ゴールまで常に最短距離を走る
アナリティカルデータを収集・分析して成功の可能性を慎重に考える
エクスプレッシブとにかく明るく元気で、知らぬ間に周りの人たちを巻き込む
エミアブル波風立てないことを重視し、周りの人たちと協調する

この4つは一般に、自己主張の強さ感情表出の強さという2つの軸の組み合わせとして整理されます。
1968年に米国の産業心理学者が提唱したもので、日本でも営業研修で広く使われています。

実際に使っているプロンプト

Grokに入れているのは次の内容です。
アカウント名と商談内容の部分を、ご自身のものに置き換えていただければ活用いただけます。

# 商談前の人物理解プロンプト

# 役割
あなたは法人営業の商談準備アシスタントです。
商談相手のXの公開投稿を読んで、商談の準備を手伝ってください。

# 前提
商談相手のXアカウントは @(相手のアカウント名) です。
商談内容は、業務管理SaaSの新規導入提案です。
判断材料は、公開されている投稿だけに限ります。

# やること
リクルートマネジメントソリューションズが紹介している
ソーシャルスタイル理論の4分類
(ドライビング/エクスプレッシブ/アナリティカル/エミアブル)
のうち、公開投稿から見てどれに近いかを推定してください。

# 出力
・推定したスタイルと、その根拠になった投稿の傾向を3つまで
・提案のときに効きそうな伝え方を3つまで
・避けたほうがよい伝え方を3つまで

# 条件
・政治的信条や健康状態などのセンシティブな属性は推測しないこと
・断定せず「公開投稿から見える傾向」として書くこと
・根拠が薄い場合は判断材料が足りないと正直に書くこと

実際に返ってきた回答

試しに、当社の人間のXアカウント(投稿数660件)を相手役にして動かしてみました。
Grokは実際に from:アカウント名 というX検索を叩いて投稿を集め、35件の情報源を参照したうえで回答しています。

推定はドライビング(実行型)に近い傾向
根拠として「結論・行動を先に置く語りが多い」「便利さより現場への影響とコストで判断する」「関係性は重視するが情緒より実務ルールで語る」の3つが挙がりました。
4分類の名前だけでなく、そう判断した根拠の投稿傾向まで出てくるので、当たっているかを自分で検証することができます

そのうえで、提案時の伝え方として次が返ってきました。

  • 最初に結論・効果・判断材料を短く出す
    機能説明の前に「何が何時間減るか」「誰のどの業務が変わるか」を置く
  • 影響範囲を先に一緒に切る
    画面デモより先に、入力担当・承認者・経営が見る数字・既存ツールとの境界を図で示す
  • 相手にコントロールを残す
    選択肢AとBを出し、推す理由は述べたうえで最終判断は相手に委ねる

そして、避けたほうがよい伝え方も同時に出すことができます。
営業の現場では、こちらのほうが役に立つ場面が多いかもしれません。


初回訪問の前にこれを5分読んでおくだけで、資料の順番と話し出しが変わります。
Grokの分析が正しいか否かはご自身で確認いただく必要がありますが、「今日はこの順番で話す」という仮説を持って商談に入れることに意味があります。

使い方その2:毎朝8時に、業界の動きを集めておく


もう一つは、決まった時間に決まった調べものを自動で実行させる使い方です。
Grokにはこの機能があり、公式の英語表記はAutomations、日本語の画面では「自動化」「オートメーション」と表示されます(2026年7月16日提供開始・出典:SpaceXAI公式「Automations in Grok」)。

ここで押さえておきたいことが一つあります。
定時実行は有料プランの機能ではありません。無料プランでも設定できます

設定手順

grok.comかスマートフォンアプリを開き、左のメニューから「自動化」を選びます。
右上の「新しいオートメーション」を押すと、次の画面が出ます。
まず名前を付け、「トリガーを追加」から実行のタイミングを選びます。

一度だけ/毎時/毎日/週間/月間/年額から選ぶことができ、GmailとOutlookの着信をトリガーとして設定することもできます。

営業の情報収集なら「毎日」を選び、時刻を出社前に合わせます。
当社では8時に設定しています。
あとは「指示」の欄に、いつも自分が調べていることをプロンプトとして保存をしていきます。

入れている指示文は次のとおりです。
業界名とベンチマーク企業の部分を、ご自身の担当に置き換えてご活用ください。

# 毎朝の情報収集プロンプト

# 役割
あなたは営業担当者の情報収集アシスタントです。
昨日から今朝までに出た情報だけを対象にします。

# 集めるもの
・対象業界(建設業・人材サービス)の動き
・ベンチマーク企業(A社・B社)の発表やニュース
・Xで話題になっている現場の声

# 条件
・WebとXの両方を見ること
・各項目は3件まで、それぞれ2〜3行にまとめること
・出典のURLを必ず付けること
・最後に「今日の商談で使えそうな話題」を1つだけ挙げること
・確認できた事実だけを書き、憶測は書かないこと

保存すると一覧に並び、次の実行までの時間が表示されます。
結果の受け取り方はメール/アプリの通知/その両方/通知なしから選択することができます。

Grokのオートメーション一覧と実行履歴
当社では毎朝8時の自動収集を複数走らせています。過去30日間の実行回数も見えます

なるほどポイント

この機能の価値は「情報が集まること」ではありません。
調べる作業を思い出さなくてよくなることです。
忙しい日ほど情報収集は後回しになりますが、勝手に届いていれば読むだけで済みます。

なお、作成できる件数や1日の実行回数の上限は公式に公表されていません
また、この設定ができるのはgrok.comとiOS・Androidアプリです。

やってはいけない線引き


注意事項も下記に記載をしておきます。
相手の投稿を読んで人物像を組み立てる行為は、やり方を間違えると法令にも規約にも触れます
公開情報だから自由、という訳ではありません。

投稿の要約と人物評価を分ける

「この人はこう発言した」というのは事実です。
「だからこういう性格だ」はAIが立てた仮説です。
こうした事実と仮説を同様に扱うことにはリスクが伴います。
AIの側が「これは仮説だ」と言っているものを、人間が事実として扱ってしまうことが最も危険な行為です

機微な属性は推測させない

政治的信条・宗教・病歴・障害・性的指向・犯罪歴といった情報は、個人情報保護法で要配慮個人情報として扱われます。
これらをAIに推測させる指示は出さないでください。

Xの開発者向けガイドラインでも、同意のないプロファイリングや、健康・政治・宗教・人種・性的指向などの推測と保存を禁じています(出典:X Developer Guidelines)。
Grok側の利用規約でも、虚偽の人物像をつくって本人を中傷・誤認させる利用雇用・信用・保険などの重要な判断をAIだけで決めることが禁止されています(出典:xAI Acceptable Use Policy)。

もう一つ、X公式のヘルプにはっきり書かれている一文があります。

Grokとの会話では、個人データまたは機微情報および機密情報は共有しないでください。これはあなた自身または他人に関するあらゆる情報に適用されます。

X「Grokについて」より

「他人に関するあらゆる情報」と明記されています(出典:X「Grokについて」)。
公開投稿を検索させることと、相手の個人情報を会話に入力することは別の行為です。
名刺やメール本文、社内で聞いた話をそのままGrokに貼り付けるのは、注意が必要です
調べさせるのは、あくまで本人が公開しているアカウントの範囲までに留めておくことを推奨します。

大量に集めない・自動で判定しない

個人情報保護委員会のガイドラインは、インターネット上で本人が自発的に公開している個人情報を取得する場合も、利用目的をあらかじめ公表するか、取得後すみやかに通知・公表する必要がある例として挙げています(出典:個人情報保護委員会「個人情報保護法ガイドライン(通則編)」)。
投稿を眺めるだけと、人物別に転記して保存し続けるのとでは、話が変わります。

同委員会は生成AIへの入力についても、利用規約を確認し、不正確な個人情報が生成されるリスクを考慮するよう注意喚起しています(出典:同委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起」)。

この使い方を始める前に決めておくこと

商談メモに書くのは「発言の事実」だけにし、性格の推定は書き残さない

機微な属性を推測させる指示は出さない。プロンプトに禁止条件として明記する

顧客情報を業務で扱うなら、入力内容を学習に使わない法人向けプランを検討する

最後の1点だけ補足します。
個人向けのプラン(無料・X Premium・SuperGrok)では、会話の内容がモデルの改善に使われる場合があります。
設定でオプトアウトはできますが、法人向けのGrok BusinessとEnterpriseは、内容をモデル改善に使用しないと公式に明記されています(出典:SpaceXAI公式「Grok Business」)。
個人情報の取り扱いについては生成AIセキュリティ超入門もあわせてご覧ください。

まとめ:今日試すなら、自動収集のほうから


2つ紹介しましたが、今日から始めるなら自動収集を先におすすめします。
理由は3つあります。
無料プランでも設定できること、設定が5分で終わること、そして人物情報を扱わないので気をつけることが少ないことです。

人物理解のほうは、まず自分自身のアカウントで試してみてください。
当たっているか外れているかが自分で判断できるので、分析精度の良し悪しを判断することができます。
そのうえで商談に使うかを決めれば十分です。

なお今回は、集めた情報を提案書に落とす工程と、この進め方をチームの型として回す方法は扱っていません
個人が試すところと、組織の仕組みにするところは、必要な作業がまるで違うためです。
そこは別の機会にあらためて書きます。

よくある質問(FAQ)


Q. 無料プランでもここまでできますか?
A. できます。公開X投稿を含むリアルタイム検索も、定時実行の設定も無料プランで利用できます。
ただし利用回数には制限があり、その上限は公式に公表されていません。
メールの着信をきっかけに実行する使い方だけは、有料のSuperGrok(月額30ドル)が必要です。

Q. X Premiumの月額980円に、SuperGrokは含まれますか?
A. 含まれません。X Premiumは、X上でGrokを使うときの上限を引き上げるプランで、SuperGrokとは別の契約です。

Q. ChatGPTやGeminiでは同じことはできませんか?
A. 定時実行に相当する機能は他社にもあります。
違いが出るのは人物理解のほうで、X投稿を対象にした検索機能を公式に明記しているのは2026年9月時点ではGrokです。
他社が一切読めないという意味ではありません。

Q. 相手のアカウントを調べたことは、相手に通知されますか?
A. 通知されません。公開されている投稿を検索して読んでいるだけだからです。
ただし通知されないことと、やってよいことは別の話です。記事内の線引きをご確認ください。

Q. Grokが出した性格の判定は、どのくらい信じてよいですか?
A. 仮説として扱ってください。
公開投稿から見えるのは「発信のときの語り口」であり、商談の場での振る舞いや社内での立場までは分かりません。
Grok自身も、誤情報を含む可能性があるため回答を検証するよう案内しています(出典:SpaceXAI公式「Consumer FAQ」)。

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