この記事でわかること
- 中小企業がAI導入を相談できる先(公的窓口・ITベンダー・研修会社・コンサル)と、それぞれに相談できること
- 「何を相談したいか」で変わる、相談先の選び方と使い分け
- 相談先ごとの向き・不向きを一覧にした比較表
- 相談の前に用意しておきたい情報
「自社の場合はどこから始めればよいか相談したい」という方はこちら
「社内でAIを使えるようにしてほしい」と任されたものの、誰に相談すればよいのか分からない。
AI導入を任された推進担当の方から、このような声を伺うことがあります。
公的な窓口、ITの会社、研修会社、コンサルと相談先はいくつもあり、それぞれの違いが見えにくいのが実情ではないでしょうか。
この記事では、中小企業がAI導入を相談できる先を整理し、「何を相談したいか」に合わせた選び方と使い分けをご紹介します。
導入全体の段取りは、中小企業のAI導入の進め方|5つの段取りと期間の目安で解説しています。
中小企業のAI導入は誰に相談する?——結論から
AI導入の相談先は、「どこが良いか」ではなく「何を相談したいか」で決まります。
相談したいことは、大きく次の3つに分けることができます。
AI導入で相談したいことは3つ
何に使えるか
自社の業務の
ツールを
どのAIツールを
社内に
入れたのに
方向性を決めたい段階なら、公的窓口やAIへの質問から始めることができます。
ツールが決まっているなら、ITベンダーに直接相談すると話が早く進む可能性があります。
社内に定着させたい段階では、研修会社やコンサル・顧問のように、社員と一緒に手を動かす相談先が向いていると考えています。

AI導入の相談先を探す前に:相談したいことを3つに分ける
相談先を探す前に、自社がいまどの段階にいるのかを確かめておくことを推奨します。
同じ「AI導入の相談」でも、段階が違えば聞きたいことも、答えられる相談先も変わる為です。
次のうち、最も近いものはどれでしょうか。
- □ 経営者から「AIを使え」と言われたが、何から手を付けるか決まっていない(→ 01)
- □ ChatGPTやGeminiなど、どのツールを会社で契約するか迷っている(→ 02)
- □ 補助金を使ってAIツールやシステムを入れたい(→ 02)
- □ ツールは入れたが、使っているのは一部の社員だけになっている(→ 03)
- □ 社内でAIを使うときのルールが決まっていない(→ 01と03)
1つに絞れなくても問題ありません。
たとえば「何に使えるか分からない」と「定着させたい」は、同時に抱えている会社も多いと考えています。
その場合は、先に方向性を決め、そのあとに定着の相談へ進む順番が進めやすいと考えています。
中小企業がAI導入を相談できる5つの先
ここからは、相談先ごとに「相談できること」「費用の目安」「向いている段階」「気をつけたい点」を見ていきます。
最初の「自分で調べる」は相談先とは少し違いますが、多くの方が最初に通る道なので、あわせてご紹介します。
0. まずは自分で調べる(AIへの質問・YouTube・ネットの記事)
| 相談できること | AIで何ができるかの全体像、ツールの使い方、他社の活用例 |
| 費用の目安 | 無料のプランの範囲で始めることができる(例:Geminiには無料のプランがあります。出典:Google「Gemini のプラン」) |
| 向いている段階 | 01(何に使えるか分からない) |
ChatGPTやGeminiに「中小企業がAIを導入するには何から始めればよいか」と質問して、方向性を考える手がかりにする方法があります。
YouTubeやネットの記事でも、ツールの使い方や他社の活用例を数多く見ることができます。
思い立ったその日に、自分のペースで始められるのが最大の利点です。
一方で、自分で調べる方法は、調べた本人の知識は増えても、社内で使える人が増えるとは限りません。
AIの答えも一般論になりやすく、自社のIT環境や業務の事情までは踏まえていない可能性があります。
社内に広がりにくい理由は、AI研修は必要?「YouTubeで十分」では社内に広がらない理由で詳しく解説しています。
1. 公的窓口(よろず支援拠点・商工会議所・商工会)
| 相談できること | 経営課題の整理、AIやデジタル化の方向性、補助金などの支援制度の情報 |
| 費用の目安 | 無料 |
| 向いている段階 | 01(何に使えるか分からない) |
よろず支援拠点は、国が全国47都道府県に設置した無料の経営相談所で、経営上の課題を何度でも無料で相談することができます(出典:中小機構 J-Net21「よろず支援拠点」、よろず支援拠点 全国本部)。
地域の商工会議所や商工会でも、経営の相談を受け付けています(出典:日本商工会議所、全国商工会連合会)。
公的窓口の強みは、費用をかけずに、AIだけでなく経営全体の視点から相談できることです。
「そもそもAIで解決すべき課題なのか」から一緒に考えてもらえるのは、他の相談先にはない利点だと考えています。
なお、AIの具体的な使い方や社員への教え方までどこまで扱えるかは、窓口や担当者によって異なります。
方向性が決まったあとの「社員が日々の業務で使えるようにする」段階は、次に紹介する相談先と組み合わせることを推奨します。
2. ITベンダー・ツールの販売会社(補助金の支援事業者を含む)
| 相談できること | ツールの機能や料金、契約、初期設定、補助金の申請 |
| 費用の目安 | 相談料・ツールの利用料・導入費は、相談する会社に確認 |
| 向いている段階 | 02(ツールを選びたい) |
入れたいツールが決まっている場合や、補助金を使いたい場合は、ITベンダーへの相談が近道になると考えています。
たとえば「デジタル化・AI導入補助金」(旧IT導入補助金)は、事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組んで申請する仕組みになっています(出典:デジタル化・AI導入補助金2026「補助金とは」)。
補助金の対象になるツールや申請の流れも、IT導入支援事業者と一緒に確認しながら進めることになります。
気をつけたい点は、提案の中心が、その会社が扱っているツールになりやすいことです。
ツールの比較から相談したい場合は、自社が使っているIT環境(Microsoft 365か、Google Workspaceかなど)を先に伝えておくと、合うかどうかを判断しやすくなると考えています。
3. 研修会社
| 相談できること | 社員向けのAI研修の内容、対象者、時間、実施の形式 |
| 費用の目安 | 研修1回ごとの費用(人数・時間・内容で変わる) |
| 向いている段階 | 01・03(方向性を決めたい/定着させたい) |
研修会社に相談すると、社員全員がAIの基本と使い方を同じ日に学ぶ場を作ることができます。
一部の詳しい人だけが使っている状態から、社内の共通言語を作る段階に向いていると考えています。
研修の費用の目安は、AI研修の費用相場は?形式別の料金目安にまとめています。
気をつけたい点は、研修が1回で終わると、日々の業務に戻ったときにAIを使い続けられない可能性があることです。
研修の題材に自社の業務を使えるか、研修のあとに質問できる場があるかを、相談の段階で確認することを推奨します。
4. AIコンサル・AI顧問(伴走型の支援)
| 相談できること | 自社の業務に合わせたAIの使い方、社内のルール、ツールの選定、定着までの進め方 |
| 費用の目安 | 月額の契約、または案件ごとの契約 |
| 向いている段階 | 01・02・03(どの段階からでも) |
AIコンサルやAI顧問は、自社の業務やIT環境を見たうえで、使い方の設計から社内への定着までを継続して支援する相談先です。
ツールを売ることが目的ではない為、「この業務にはAIを使わない方がよい」という判断も含めて相談できるのが特徴だと考えています。
支援の範囲は会社によって大きく異なるので、伴走型AIコンサルとは?支援範囲の3タイプと見分け方も参考にしてください。
気をつけたい点は、月額の費用が続くことと、依頼する範囲を決めないと費用に見合った成果が見えにくくなる可能性があることです。
費用の目安はAIコンサルの費用相場、月額で相談できる形はAI顧問とは?月額の相場と依頼できることで解説しています。
AI導入の相談先の比較表:相談したいこと別の向き・不向き
ここまでの内容を、相談したいこと別に一覧にしました。
◎はその相談に最も向いている先、○は相談できる先、△は別の相談先と組み合わせたい先です(弊社の見立てです)。
| 相談先 | 01 何に使えるか分からない | 02 ツールを選びたい | 03 社内に定着させたい | 費用 |
|---|---|---|---|---|
| 自分で調べる | ○ | ○ | △ | 無料のプランあり |
| 公的窓口 | ◎ | ○ | △ | 無料 |
| ITベンダー | △ | ◎ | △ | 相談する会社に確認 |
| 研修会社 | ○ | △ | ○ | 研修1回ごと |
| AIコンサル・顧問 | ○ | ○ | ◎ | 月額・案件ごと |
※公的窓口の「無料」はよろず支援拠点の場合です(出典:よろず支援拠点 全国本部)。自分で調べるの「無料のプランあり」は、Geminiの例です(出典:Google「Gemini のプラン」)。
「01 何に使えるか分からない」は費用をかけずに相談できる先から始め、「03 定着させたい」は社員と一緒に手を動かす相談先を選ぶのが、費用を抑えやすい組み合わせだと考えています。
すべてを1つの相談先で済ませようとせず、段階ごとに相談先を変えることも選択肢の1つです。
段階ごとのAI導入の相談先の使い分け
実際には、1つの相談先で完結することは少なく、段階に合わせて相談先が変わっていくことが多いと考えています。
よくある進み方は、次の3段です。
段階1方向性をつかむ
AIへの質問や公的窓口で、AIで何ができるか・自社のどの課題に使えそうかを整理する
段階2土台を揃える
使うツールを決め、研修で社員全員がAIの基本と社内のルールを学ぶ
段階3業務に定着させる
日々の業務で出てくる「この作業にも使えないか」を、継続して相談しながら広げていく

ツールがすでに決まっている会社は、段階1を飛ばしてITベンダーに相談し、そのあと段階2に進む形でも問題ありません。
反対に、段階1を飛ばしてツールだけを先に入れると、「何に使えばよいか分からない」状態のまま利用料だけが続く可能性があります。
実例:弊社に届くAI導入の相談
弊社に届くご相談の中から、相談先の使い分けが分かりやすい2つをご紹介します(社名は伏せています)。
実例1:YouTubeで学んでいたが、社内で使える人が増えなかった
推進担当の方がYouTubeで使い方を学び、ご本人は使えるようになっていたものの、社内で使う人は増えなかったというご相談です。
段階1の「自分で調べる」で止まり、段階2の「土台を揃える」に進めていなかった形です。
1人が詳しくなることと、社内で使える人が増えることは、別の課題として相談先を分けることを推奨します。
実例2:AIに相談して、弊社にたどり着いた
ChatGPTやGeminiに「中小企業のAI導入を相談できる会社」を質問し、表示された候補の中から弊社にお問い合わせいただいたケースです。
AIへの質問は、段階1の方向性をつかむだけでなく、相談先を探す入口としても使われ始めています。
AIが挙げた候補は、そのまま決めるのではなく、各社のサイトで支援の範囲と費用を確かめてから比べることを推奨します。
AI導入の相談の前に用意しておきたい情報
どの相談先を選ぶ場合でも、次の5つを用意しておくと、1回目の相談から具体的な話に進みやすくなると考えています。
すべて揃っていなくても構いませんが、分かる範囲でメモにしておくことを推奨します。
- □ いま使っているIT環境(Microsoft 365か、Google Workspaceか、パソコンはWindowsかMacか)
- □ 時間がかかっている業務を3つと、それぞれに毎月かかっているおよその時間
- □ すでに社員が使っているAIがあるか(個人のアカウントを含む)
- □ 社内でAIを使うときのルールがあるか
- □ 予算の目安と、導入を最終的に決める人は誰か
中でも、IT環境は最初に伝えておきたい情報です。
Microsoft 365を使っている会社とGoogle Workspaceを使っている会社では、合うAIの選び方や設定が変わる為です。
社員が個人のアカウントでAIを使っている場合は、情報の扱いについても相談することを推奨します。
情報漏洩とAIの関係は、最近の情報漏洩はAIのせい?2026年秋の事例で分かった3つの関係で解説しています。
まとめ:AI導入の相談先は「相談したいこと」から選ぶ
中小企業がAI導入を相談できる先は、公的窓口、ITベンダー、研修会社、AIコンサル・顧問と、AIへの質問など自分で調べる方法を含めて5つあります。
どこが優れているかではなく、自社がいま何を相談したいかで選ぶことが重要です。
方向性を決めたい段階は、公的窓口やAIへの質問から。
ツールが決まっているなら、ITベンダーへ。
社内に定着させたい段階は、研修会社やAIコンサル・顧問へ。
まずは、自社が3つの相談ごとのどこにいるかを確かめ、IT環境と困っている業務をメモにするところから始めることを推奨します。
弊社では、中小企業向けに、社員の皆様の業務を題材にしたAI研修と、研修のあとに日々の相談を受ける伴走型の支援を行っています。
「何を相談すればよいかもまだ分からない」という段階からでも、IT環境と業務を伺ったうえで、どこから始めるのがよいかを一緒に整理することができます。
よくある質問(FAQ)
Q. AI導入を無料で相談できる窓口はありますか?
A. 国が全国47都道府県に設置しているよろず支援拠点では、経営上の課題を何度でも無料で相談することができます(出典:よろず支援拠点 全国本部)。
地域の商工会議所・商工会でも経営の相談を受け付けています。
AIの具体的な使い方まで扱えるかは窓口によって異なるので、予約のときに確認することを推奨します。
Q. 補助金を使ってAIツールを導入したい場合は、どこに相談すればよいですか?
A. デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)を使う場合は、事務局に登録された「IT導入支援事業者」と組んで申請する仕組みです(出典:デジタル化・AI導入補助金2026「補助金とは」)。
入れたいツールを扱っているIT導入支援事業者に、補助金の対象になるかをあわせて相談するのが近道になると考えています。
Q. 研修会社とAIコンサルは、どちらに先に相談すべきですか?
A. 社員の多くがまだAIを使ったことがない段階なら、研修で全員の土台を揃えるところから始めると進めやすいと考えています。
すでに使っている人がいて、業務にどう広げるかで止まっている段階なら、AIコンサル・顧問への相談が向いていると考えています。
研修と伴走の両方を行っている会社に相談し、段階を一緒に見てもらう方法もあります。
Q. AIに相談先を質問して、そのまま決めてもよいですか?
A. AIへの質問は、相談先の候補を知る入口として役に立ちます。
ただし、AIが挙げた会社の支援の範囲や費用が、自社の状況に合っているとは限りません。
候補が挙がったら、各社のサイトで支援の範囲と費用を確かめ、1回目の相談で自社のIT環境と困っている業務を伝えて比べることを推奨します。
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「何を相談すればよいかもまだ分からない」という段階で構いません。お気軽にご相談ください。
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