この記事でわかること
- 「生成AIはYouTubeで学べば十分」が、一理あるのに社内では広がらない理由
- 中小企業の生成AI活用が「個人任せ」になりやすいことを示す最新の調査データ
- 研修だけが持っている価値=「全員・同じ時間・同じ課題」
- 同じ研修でも、汎用的な内容か自社の業務を題材にするかで差が出る理由
- 研修を選ぶときに確かめたいポイント
「社内でAIを使う人が一部に偏っている」という方はこちら
「AIはもう導入しています。
使い方はYouTubeで見ればいいですよね?」
AI研修のご相談の場で、当社がよく伺う言葉です。
実際、生成AIの使い方を解説する動画は無料でいくらでも見つかります。
それでも研修にお金と時間をかける意味はあるのでしょうか。
この記事では、動画で学ぶことの良さを認めたうえで、それだけでは会社全体の活用に広がらない理由を、最新の調査データとあわせて整理します。
結論:YouTubeは「個人の学び」、研修は「会社の足並み」を揃えるもの
先に結論をお伝えします。
YouTubeなどの動画は、興味を持った人が自分のペースで学ぶための手段として優れています。
一方で研修は、社内の関係者が同じ時間に同じ課題に取り組み、足並みを揃えるための手段です。
どちらが優れているかではなく、役割が違います。
「会社として生成AIを使えるようにしたい」のであれば、必要なのは後者です。
※スマートフォンでは表を横にスクロールしてご覧ください
| 観点 | YouTube・動画で学ぶ | 研修で学ぶ |
|---|---|---|
| 変わる人 | 見た本人だけ | 参加した全員 |
| 内容 | 誰にでも当てはまる一般的な使い方 | 自社の業務に合わせられる |
| 費用 | 無料で始められる | 費用がかかる |
| 時間 | 好きな時間に、好きなだけ | まとまった時間を全員で確保する |
| 向いている目的 | 個人の興味・情報収集 | 会社としての活用・社内への定着 |
「YouTubeで見ればいい」は一理ある
最初に、動画で学ぶことの良さをきちんと確認しておきます。
「YouTubeで十分」という意見は、決して間違いではありません。
無料で始められる
費用をかけずに、生成AIで何ができるのかを知ることができます。
「まず雰囲気をつかみたい」という段階には十分です。
自分のペースで何度でも見られる
分からないところは止めて、繰り返し見直せます。
業務の合間の短い時間でも学べるのは、動画ならではの強みです。
最新情報が早い
生成AIは毎月のように新しい機能が出ます。
新機能の紹介は、動画の方が早く出回ることも珍しくありません。
ここまでを見ると、研修は要らないように思えるかもしれません。
ところが「会社として使えるようにする」という目的に置き換えると、動画には2つの限界が見えてきます。
動画だけでは生成AIが社内に広がらない2つの理由
理由1:自社の使い方に合うとは限らない
動画で紹介される使い方は、多くの人に当てはまるように作られています。
メールの下書き、文章の要約、アイデア出し。
どれも便利ですが、自社の業務にそのまま当てはまるとは限りません。
たとえば、社内で使っているAIがCopilotなのか、Geminiなのか、ChatGPTなのかで、画面も操作もできることも変わります。
動画の中の人が使っているツールと、会社で許可されているツールが違えば、同じことを再現するところから止まってしまいます。
さらに「弊社の見積書の場合はどうするのか」「日報ならAIにどう指示をすればいいのか」という、最も知りたい部分は動画に出てこない事がほとんどです。
このように、動画で分かるのは「AIで何ができるか」までです。
「自社のルールの中で、自社の業務にどう使うか」は、動画を見た人が一人で考えるしかありません。
理由2:変わるのは見た本人だけ
もう1つの限界の方が、会社にとっては大きな問題です。
動画を見て使い方が変わるのは、見た本人だけです。
興味を持った一部の人は使いこなしていきますが、それ以外の人は何が起きているのか分からないまま取り残されます。
この「個人任せ」の状態は、調査データにも表れています。
東京商工リサーチが2026年4月に発表した調査では、「会社として生成AIの業務活用を推進していますか」という質問に対して、次のような結果が出ています(出典:東京商工リサーチ「生成AIに関するアンケート調査」)。
中小企業は「会社として推進」より「個人任せ」が多い
「貴社では、生成AIツールの業務活用を推進していますか?」への回答(単一回答・%)
会社として活用を推進
部門によっては活用を推進
個人で活用していることもある
出典:東京商工リサーチ「生成AIに関するアンケート調査」(2026年4月27日発表・調査期間2026年3月31日〜4月7日・有効回答6,327社)。大企業=資本金1億円以上、中小企業=資本金1億円未満(個人企業等を含む)。グラフの目盛りは0〜40%。「方針は決めていない」は中小企業38.7%(大企業は発表ページに記載なし)。
大企業では「会社として推進」が36.4%で最も多く、「個人で活用していることもある」は18.9%です。
中小企業では並びが逆になり、「個人で活用していることもある」が27.7%で、「会社として推進」の19.1%を上回っています。
さらに「方針は決めていない」が38.7%あります。
中小企業の生成AI活用は、会社の方針ではなく「使いたい人が使っている」状態にとどまりやすいのです。
「YouTubeで見ればいい」で進めた場合に行き着くのは、まさにこの状態です。
個人任せにすると、社員の間で差も広がります。
帝国データバンクの調査では、生成AIを活用している企業の18.8%が、悪い影響として「AIを使いこなせる社員と使いこなせない社員の間で、能力や成果の格差が拡大した」と答えています(出典:帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」・生成AI活用企業3,560社が回答)。
分からないまま話が進むと、かえって拒否反応が出る
使える人と使えない人の差は、成果の差だけでは終わりません。
一部の人が「AIでこうすれば早い」と話を進めても、分からない人にとっては何を言われているのか見当がつきません。
分からないまま仕事のやり方だけが変わっていくと、「よく分からないものを押しつけられている」という受け止め方になりがちです。
こうなると、AIに詳しい人が提案するほど周りが身構えるという、逆の流れが生まれます。
せっかく導入したAIが一部の人の道具のまま止まってしまう原因の多くは、ツールの性能ではなく、この社内の温度差にあります。
AI研修の価値は「全員・同じ時間・同じ課題」にある
では、研修にしかない価値はどこにあるのでしょうか。
それは内容の詳しさよりも、関係者全員がまとまった時間に、同じ課題に取り組むという形そのものにあります。
全員が同じ体験をすると、社内に「共通の言葉」が生まれます。
「研修でやったあの指示の出し方で、AIに議事録を作らせておいて」と言えば、相手に通じる状態です。
動画を各自で見るやり方では、この共通の言葉がいつまでたっても生まれません。
全員で取り組むことで得られるもの
✓ 取り残される人が出ない:
苦手な人も、その場で手を動かしながら追いつける
✓ その場で疑問を解消できる:
「これは社外に出していい情報か」といった判断も、全員で同じ答えを持てる
✓ 使ってよい範囲が揃う:
個人の判断ではなく、会社のルールとして共有できる
✓ 「使っていいんだ」という空気ができる:
一部の人だけが使う状態から、会社として使う状態に変わる
もう1つ見落とされがちなのが、時間を会社として確保することの意味です。
「空いた時間に各自で動画を見ておいて」と伝えても、忙しい人ほど後回しになります。
研修という形で予定を押さえると、普段は手が回らない人も含めて、全員が同じだけ学ぶ時間を持てます。
特に大切なのが、最後の「空気」です。
AIを使うことに後ろめたさを感じていた人も、会社として時間を取って全員で学んだとなれば、堂々と使えるようになります。
これは各自が動画を見るだけでは、どうしても作れないものです。
同じAI研修でも「題材」で差が出る:汎用型と業務題材型
ただし、研修であれば何でもよいわけではありません。
同じ研修でも、誰にでも当てはまる汎用的な内容を扱うのか、自社の業務を題材にするのかで、研修が終わったあとの変化が大きく変わります。
※スマートフォンでは表を横にスクロールしてご覧ください
| 観点 | 汎用型の研修 | 業務題材型の研修 |
|---|---|---|
| 扱う題材 | 架空の例・一般的な使い方 | 自社で実際に困っている業務 |
| 研修中の手応え | 「便利そうだ」と分かる | 業務の変化が分かる |
| 研修後の当てはめ | 受講者一人ひとりに任される | 研修の型が使える |
| 使い始めるまで | 自分で置き換えられた人から少しずつ | 研修の翌日から、習った型をそのまま使える |
汎用型の研修では、「自分の業務にどう当てはめるか」という最後の一歩が、受講者に任されます。
ここで手が止まるのは、受講者の意欲の問題ではありません。
普段の仕事を抱えながら、学んだ内容を自分の業務に置き換える作業は、それ自体が1つの仕事になるからです。
業務題材型の研修なら、当てはめる作業が研修の中で終わっているので、翌日からそのまま使えます。
研修で作った議事録用のAIへの指示文を、翌日の会議でそのまま使う。
研修で作ったメールの返信文を、そのまま下書きの型にする。
この「翌日から使える」状態を作れるかどうかが、研修を選ぶときの最も大きな分かれ目です。
研修会社を比べるときの基準は、別の記事社員に”使われるAI研修”の選び方——失敗しない3つの基準で詳しくまとめています。
費用の目安はAI研修の費用相場の記事をご覧ください。
研修会社に確かめたい3つの質問
「研修の題材は、自社の業務に合わせてもらえますか?」
「社内で使っているAIツール(Copilot・Geminiなど)で研修してもらえますか?」
「研修が終わった翌日から使えるものが、手元に残りますか?」
Orcaの研修:事前アンケートで業務の課題を集め、そのまま題材にする
当社のAI研修は、業務題材型で設計しています。
支援を始める前に、参加される方へ業務の課題についてアンケートを取り、多く挙がった課題をそのまま研修の題材にしています。
事前アンケートで業務の課題を集める
参加される方に、日々の業務で時間がかかっていること、困っていることを伺います。
日常業務で利用しているシステム環境も確認します。
多く挙がった課題を題材に研修を組む
関心の高い課題から順に、研修の時間を割り当てます。
当日は全員で、その課題をAIで解く手順を実際に手を動かして体験します。
翌日から、研修で作った型をそのまま使う
研修で作ったAIへの指示の型は、そのまま業務に持ち込めます。
「習ったけれど、どう使えばいいか分からない」という状態を残しません。
題材が自分たちの業務なので、受講された方からは「自分の仕事で使うイメージが持てた」という声をいただいています。
研修の受講後アンケートでは、満足度で高い評価をいただいています。
受講満足度
4.7 / 5.0
※研修の受講後アンケート(5段階評価)
研修の時間は60分から180分まで、会社の状況に合わせて選べます。
「まずは全員で、1つの業務から始めてみる」という小さな一歩が、社内に広げる近道です。
YouTubeと研修の組み合わせ方:研修の前と後で役割を分ける
ここまで読むと、動画は要らないように感じるかもしれません。
そうではありません。
動画と研修は、使う時期を分けると両方が活きます。
※スマートフォンでは表を横にスクロールしてご覧ください
| 時期 | 動画の役割 | 研修の役割 |
|---|---|---|
| 研修の前 | AIで何ができるのか、雰囲気をつかむ | — |
| 研修の当日 | — | 全員で自社の業務を題材に手を動かし、共通の言葉とルールを作る |
| 研修の後 | 新しい機能や応用の使い方を、各自で深める | 社内で出た疑問をもとに、次に取り組む業務を決める |
研修で土台が揃っていれば、動画で知った新しい使い方も「この業務で使える」とすぐに置き換えられます。
反対に、土台がないまま動画だけを増やしても、知識が一部の人に溜まっていくだけです。
先に研修で全員の土台を揃え、その上に動画で各自が積み上げる順番が最も無理がありません。
「動画を見ている社員がすでに何人かいる」という会社は、むしろ研修を始めやすい状態です。
その方々が研修の中で周りの質問に答える役に回ると、研修が終わったあとも社内で教え合う流れができます。
まとめ:生成AIを会社に広げたいなら、研修で足並みを揃える
この記事のポイント
✓ YouTubeなどの動画は、個人が自分のペースで学ぶ手段として優れている
✓ ただし変わるのは見た本人だけで、中小企業の生成AI活用は「個人任せ」になりやすい
✓ 分からない人が取り残されると、かえって拒否反応が生まれる
✓ 研修の価値は「全員・同じ時間・同じ課題」で社内に共通の言葉を作ること
✓ 自社の業務を題材にした研修なら、翌日から習った型をそのまま使える
動画で学ぶことと研修を受けることは、どちらか一方を選ぶものではありません。
研修で全員の足並みを揃えたあとなら、動画はそれぞれが知識を深めるための強い味方になります。
まずは「社内で誰が使っていて、誰が使えていないか」を見直すところから始めてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 生成AIをYouTubeで学ぶのは意味がないのですか?
A. 意味はあります。
個人が興味を持つ入口として、また研修のあとに知識を深める手段として役立ちます。
ただし会社全体での活用を目指すなら、動画だけでは一部の人に偏りやすいため、全員で取り組む場を別に設けることをおすすめします。
Q. AI研修は何分くらいから依頼できますか?
A. 当社では60分から180分まで、会社の状況に合わせてお選びいただけます。
まずは短い時間で1つの業務に絞り、手応えを確かめてから広げる進め方もできます。
Q. 研修は社員全員が参加しないといけませんか?
A. 全員が理想ですが、難しい場合は同じ業務をしている部署やチーム単位でも十分です。
大切なのは、一緒に仕事をする人どうしが同じ体験をして、共通の言葉を持てることです。
Q. 研修ではどんな業務を題材にしますか?
A. 事前アンケートで多く挙がった課題を題材にします。
議事録の作成、メールの返信文、社内資料のまとめなど、日々くり返している業務が中心です。
社内で使っているAIツールに合わせて内容を組みます。
Q. 無料相談では何を話せばよいですか?
A. 「今どんなAIを使っているか」「どの業務に時間がかかっているか」を伺えれば十分です。
研修を受けるかどうか決まっていない段階でも構いません。
社内のAI活用を「個人任せ」から一歩進めたい方へ
株式会社Orcaは中小企業向けに、完全カスタムのAI研修と伴走型のAI活用支援を提供しています。
「自社の業務で何ができるか知りたい」という段階で構いません。お気軽にご相談ください。
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