この記事でわかること
- AI研修に使える国の助成金「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)」の中身がわかる
- 中小企業なら訓練経費の75%+賃金助成1人1時間1,000円まで戻ってくる仕組みがわかる
- AI研修が助成の対象になる条件・申請の流れ(訓練開始1か月前までの計画届)がわかる
- 「100万円の研修が実質いくらになるか」の費用シミュレーションと、つまずきやすい落とし穴がわかる
「自社に合うAI研修・助成金の活用を相談したい」という方はこちら
「社員にAI研修を受けさせたいけれど、費用が気になる」
そんな中小企業の経営者・人事担当者の方に、ぜひ知っておいてほしいのが国の助成金です。
実は、AI研修(生成AI研修)は、厚生労働省の「人材開発支援助成金」を使うと、訓練にかかった費用の大部分が国から戻ってくる可能性があります。
この記事では、AI研修に使える助成金の中身・対象になる条件・申請の流れを、非エンジニアの方にもわかるようにやさしく解説します。
※2026年7月時点の情報です。制度は改定されることがあるため、最新の要件は必ず管轄の労働局にご確認ください。
結論:AI研修は「人材開発支援助成金」で経費の最大75%が戻る
先に結論からお伝えします。
AI研修に使える代表的な助成金は、厚生労働省の「人材開発支援助成金」という制度です。
その中でも、生成AIのような新しい分野のスキル習得にマッチしやすいのが「事業展開等リスキリング支援コース」です。
中小企業がこのコースを使うと、AI研修の訓練経費の75%+研修中の賃金1人1時間あたり1,000円までが助成されます。
| 項目 | 中小企業 | 大企業(中小企業以外) |
|---|---|---|
| 経費助成率(研修費用に対して) | 75% | 60% |
| 賃金助成(研修中の1人1時間あたり) | 1,000円 | 500円 |
| 経費助成の上限(1人1訓練・10〜100時間未満) | 30万円 | 20万円 |
| 1事業所あたりの年間上限 | 1億円 | |
出典:厚生労働省 人材開発支援助成金パンフレット(令和8年度版)。※eラーニング・通信制のみの訓練は経費助成の上限が別途あります(後述)。数値は2026年7月時点。
ざっくり言えば、「AI研修にかかった費用の4分の3が国から戻り、しかも研修を受けている社員の人件費の一部までカバーされる」ということです。
次の章から、この制度の中身と「自社が対象になるのか」を順番に見ていきましょう。
人材開発支援助成金とは?(AI研修・生成AI研修に使える制度)
人材開発支援助成金とは、事業主が雇用する労働者に対して、計画に沿って職務に関連する訓練(研修)を実施した場合に、その訓練経費や研修期間中の賃金の一部を国が助成する制度です。
雇用保険料を財源に運営されている、厚生労働省の代表的な人材育成向け助成金です。
この助成金にはいくつかのコースがありますが、AI研修(生成AI研修)で特に注目したいのが次の2つです。
| コース名 | こんな企業・目的向け |
|---|---|
| 事業展開等リスキリング支援コース | 新規事業の立ち上げやDX(デジタル化)に伴い、社員に新しい分野の知識・技能を身につけさせたい。AI・デジタル分野の研修と相性が良く、助成率が高い。 |
| 人材育成支援コース | 職務に関連した専門的な訓練を計画的に実施したい。汎用的な人材育成に使える基本コース。 |
本記事では、AI研修と特に相性の良い「事業展開等リスキリング支援コース」を中心に解説します。
このコースは、「新たな分野で必要となる知識・技能を習得させるための訓練」を支援するもので、社内のDX推進・デジタル化のためのAI活用スキル習得は、まさにこの趣旨に合致しやすい領域です。
なお、このコースは令和8年度末までの時限措置とされています(厚労省 令和8年度版パンフレットより)。
検討中の方は早めに動くのがおすすめです。
💡 補足:リスキリングとは?
リスキリング(Reskilling)とは、時代の変化に合わせて新しいスキルを学び直すこと。国が「DX・デジタル化の担い手を育てたい」という狙いで手厚く支援している領域で、生成AIの業務活用スキルはその中心テーマの一つです。
AI研修が助成金の対象になる5つの条件
「うちのAI研修も対象になるの?」——ここが一番気になるところだと思います。
事業展開等リスキリング支援コースでAI研修を助成対象にするには、おおむね次の条件を満たす必要があります。
特に見落とされがちなのが「研修開始日の1か月前までに計画届を出す」という順番です。
雇用保険に加入している事業所であること
この助成金は雇用保険を財源にしているため、雇用保険適用事業所であることが大前提です。研修を受ける社員も、雇用保険の被保険者である必要があります。
実際の研修時間が10時間以上あること
助成の対象になる「実訓練時間数」が10時間以上必要です。1日で終わらなくても、複数日に分けて合計10時間以上でOK。移動時間や休憩、趣味・教養にあたる内容は時間から除外して数えます。
OFF-JT(通常業務から離れた研修)であること
日常業務の中でのOJTではなく、OFF-JT(業務から切り離した研修)が対象です。外部の研修会社に委託して実施する研修も、要件を満たせば対象になります。
研修内容が「新たな分野の知識・技能」であること
事業展開等リスキリング支援コースは、DX・デジタル化を進めるために必要な知識・技能の習得が対象です。生成AIを業務に活かすためのスキル習得は、この趣旨に沿った研修設計であれば対象になり得ます。趣味・教養や、通常の業務説明にとどまるものは対象外です。
研修開始の1か月前までに計画届を出していること
最重要ポイントです。研修を始める1か月前までに、労働局へ「職業訓練実施計画届」を提出しておく必要があります。研修を受けてから「後で申請」はできません。前提として、社内で「職業能力開発推進者の選任」と「事業内職業能力開発計画の策定・社員への周知」も必要です。
細かい要件は年度や訓練内容によって変わるため、実際に自社の研修が対象になるかは、事前に管轄の労働局に確認するのが確実です。
「この研修は事業展開等リスキリング支援コースの対象になりますか?」と、研修のカリキュラム案を持って相談するのがおすすめです。
申請の流れ:3ステップで理解する
助成金というと手続きが難しそうに感じますが、大きな流れは「①計画を出す → ②研修する → ③申請する」の3ステップです。
ポイントは、必ず研修を始める前に計画届を出すこと。ここを逆にすると助成が受けられません。
| ステップ | 内容 | タイミング |
|---|---|---|
| ① 計画届の提出 | 「職業訓練実施計画届」と必要書類を管轄の労働局に提出する。前提として、社内で職業能力開発推進者の選任・事業内職業能力開発計画の策定を済ませておく。 | 研修開始日の1か月前まで |
| ② 研修の実施 | 計画どおりにAI研修を実施する。研修にかかる費用は、支給申請までに事業主が全額支払っておく必要がある。 | 計画に沿って実施 |
| ③ 支給申請 | 「支給申請書」と必要書類を労働局に提出する。審査を経て、助成金が支給される。 | 研修終了日の翌日から2か月以内 |
💡 資金繰りのポイント
助成金は「後払い(先に研修費を払い、あとから戻ってくる)」が基本です。研修費用はいったん会社が全額を立て替え、支給申請・審査を経て入金される流れになります。手元資金のスケジュールも意識して計画を立てましょう。

費用シミュレーション:100万円のAI研修は実質いくら?
具体的な数字で見てみましょう。
ここでは「中小企業が、社員20名に対して合計100万円のAI研修(10時間以上)を実施する」ケースを例に、助成金を使うと実質負担がどう変わるかを試算します。
※以下はあくまで制度の考え方を理解するための概算モデルです。
実際の助成額は訓練時間・賃金・上限額などによって変わります。正確な金額は労働局・専門家にご確認ください。
| 項目 | 金額(概算モデル) |
|---|---|
| AI研修の費用(20名分) | 1,000,000円 |
| 経費助成(費用の75%) | ▲750,000円 |
| 賃金助成(1,000円 × 20名 × 10時間) | ▲200,000円 |
| 企業の実質負担(概算) | 約50,000円 |
※賃金助成は研修時間・対象人数・賃金額により変動します。上表は「制度を最大限に活用できた場合」のイメージであり、実際の金額を保証するものではありません。
このモデルでは、通常100万円のAI研修が、助成金を活用すると企業の実質負担は約5万円まで下がる計算になります。
社員20名で割ると、1人あたり約2,500円でAI研修を受けられる、というイメージです。
もちろん実際の金額は条件次第ですが、「使える助成金があるかどうか」で研修導入のハードルが大きく変わることは間違いありません。
※貴社の場合の費用感・助成金の適用可否については、無料相談で個別にお答えしています。
「まず対象になりそうか知りたい」段階でも構いません。
助成金を使うときの落とし穴・注意点
助成金はうまく使えば強力ですが、要件を外すと「1円も出ない」こともあります。
特にAI研修で気をつけたい落とし穴を挙げておきます。
ここに注意(AI研修でよくあるつまずき)
✕ 研修を先に実施してしまう/計画届は研修開始の1か月前まで。受講後の「後から申請」は不可。
✕ 研修時間が10時間に届かない/単発の短時間セミナーだけだと対象外。合計10時間以上になる設計が必要。
✕ 内容が「業務説明」や「教養」にとどまる/自社製品の操作説明や一般的なマナー研修などは対象外。DX・デジタルスキル習得として設計する。
✕ eラーニングだけで完結させる想定が甘い/eラーニング・通信制のみの訓練は経費助成の上限が別扱い(令和8年4月8日改正で中小15万円・大企業10万円に見直し)。集合研修と組み合わせる場合は要確認。
✕ 書類の保管を怠る/支給決定後も関係書類は5年間保存が必要。カリキュラム・出席簿・賃金台帳などを揃えておく。
制度は毎年のように細部が改定されます。
年度・助成率・上限額は必ず当年度の厚生労働省の資料か、管轄の労働局で確認してください。
「去年はこうだった」が今年も同じとは限らない、というのが助成金の鉄則です。
Orcaの場合:助成金を前提にしたAI研修設計
株式会社Orcaでは、中小企業向けにAI研修(生成AI研修)と、その後の伴走型AI活用支援を提供しています。
研修は完全カスタム設計で、貴社の業務・体制に合わせて内容を組み立てます。
助成金の活用を前提にする場合は、「10時間以上」「DX・デジタルスキル習得」といった要件を満たしやすいカリキュラム設計を一緒に検討できます。
Orcaの研修は、単に知識を伝えるだけでなく「現場で本当に使われる状態」まで届けることを重視しています。
たとえば別の支援先では、新人が独り立ちするまでの期間を6か月から3か月へ半分に短縮したり、商談後の議事録入力を仕組み化して30分から5分以下に短縮したりと、「学んで終わり」にしない定着支援を得意としています。
研修の選び方や「使われるAI研修」にするコツは、社員に”使われるAI研修”の選び方——失敗しない3つの基準でも詳しく解説しています。
また、実際の現場での活用イメージは、人材企業のAI導入事例|Salesforce入力30分を「ワンクリック」で5分に短縮した方法もあわせてご覧ください。「研修のあと、どう業務が変わるのか」がイメージしやすくなるはずです。
| Orcaの主なプラン | 内容 | 料金の目安 |
|---|---|---|
| AI研修(オンライン) | ショート/スタンダード/ロングの3タイプ。人数・時間に応じて設計。 | ショート15万円〜(〜20名) |
| 顧問ライト | 研修後のアフターケア・維持型。月2回のMTGで定着を支える。 | 月額9万円 |
| 顧問スタンダード | 「一緒に動く」伴走型。プロンプト設計・ツール連携まで支援。 | 月額18万円 |
※料金は2026年7月時点の目安です。人数・オンライン/オフライン・内容により変動します。助成金の適用可否は研修設計を踏まえて個別にご案内します。
まとめ:まず「対象になるか」を確認するところから
この記事のポイント
✓ AI研修は「人材開発支援助成金」の対象になり得る(特に事業展開等リスキリング支援コース)
✓ 中小企業なら経費の75%+賃金1人1時間1,000円まで助成される
✓ 研修は10時間以上・OFF-JT・DXスキル習得の設計が必要
✓ 計画届は研修開始の1か月前まで(後から申請は不可)
✓ 年度・率・上限は毎年変わるので、必ず当年度・管轄労働局で確認する
助成金は「知っているかどうか」で、AI研修の実質コストが大きく変わります。
まずは自社が対象になりそうかを確認し、対象になりそうなら研修開始の1か月前までという締め切りを逆算して準備を進めましょう。
「どんな研修設計なら助成金の要件を満たしやすいか」から相談したい、という段階でも問題ありません。
よくある質問(FAQ)
Q. AI研修(生成AI研修)に助成金は使えますか?
A. 使える可能性があります。厚生労働省の人材開発支援助成金、特に「事業展開等リスキリング支援コース」は、DX・デジタル分野の新しいスキル習得を支援する制度で、生成AIの業務活用スキル習得はこの趣旨に合致しやすい領域です。ただし対象になるかは研修内容や要件次第のため、事前に管轄の労働局へご確認ください。
Q. 人材開発支援助成金でAI研修の費用はどのくらい戻りますか?
A. 中小企業の場合、事業展開等リスキリング支援コースなら訓練経費の75%、加えて研修中の賃金として1人1時間あたり1,000円までが助成されます(大企業は経費60%・賃金500円)。経費助成には1人1訓練あたりの上限額もあります。
Q. AI研修の補助金と助成金は何が違いますか?
A. 一般に「助成金」は要件を満たせば原則受給できるもの、「補助金」は審査で採択された場合に受給できるものを指すことが多いです。人材開発支援助成金は厚生労働省の「助成金」で、要件を満たし正しく申請すれば支給される仕組みです。自治体によっては別途AI研修向けの補助金を用意している場合もあるため、地元の制度もあわせて確認するとよいでしょう。
Q. 申請は研修の前と後、どちらでするのですか?
A. 両方です。まず研修開始の1か月前までに「職業訓練実施計画届」を提出し(事前)、研修終了後に「支給申請書」を提出します(事後・研修終了日の翌日から2か月以内)。研修を先に実施してから申請することはできない点に注意してください。
Q. 小さな会社でも助成金は使えますか?
A. 雇用保険に加入している事業所であれば、規模が小さくても対象になり得ます。むしろ中小企業のほうが助成率(75%)・賃金助成額が手厚く設定されています。まずは自社が雇用保険適用事業所かを確認し、労働局に相談してみるのがおすすめです。
Q. 助成金の手続きが難しそうです。研修会社に任せられますか?
A. 計画届や支給申請の提出は事業主(会社)が行いますが、研修会社は「助成金の要件を満たしやすいカリキュラム設計」や必要書類(カリキュラム・実施内容がわかる資料など)の準備で協力できます。Orcaでも、助成金活用を前提とした研修設計のご相談を承っています。
AI研修・AI活用のご相談はOrcaへ
株式会社Orcaは中小企業向けに、完全カスタムのAI研修と伴走型のAI活用支援を提供しています。
「助成金を使えるか相談したい」「自社に合う進め方を知りたい」という段階で構いません。お気軽にご相談ください。
※本記事は2026年7月時点で厚生労働省が公開している情報(人材開発支援助成金/事業展開等リスキリング支援コース 令和8年度版パンフレット等)をもとに、中小企業の担当者向けにわかりやすくまとめたものです。制度は改定されることがあり、個別の助成可否・金額を保証するものではありません。最新かつ正式な要件は厚生労働省の公式ページおよび管轄の都道府県労働局にご確認ください。
コメント